Constable’s Due in the Tower of London- ロンドン塔の年間行事

セレモニー前の打ち合わせ。チーフ・ヨーマンウォーダーとヨーマン・ジェイラー

ロンドン塔

約1000年の歴史を持つ、近代的なガラス張りのビルに面して佇む中世の古城。要塞、王宮、そして牢獄として使用された時代もあり、塔内至る所に昔の面影を残しています。1988年以来、ユネスコの世界遺産にも登録されています。ロンドンにある4つの世界遺産のうちの一つ。

ロンドン塔フォトギャラリー

Constable とは? 

日本で言うと、城代(じょうだい)のようなものでしょうか。君主の不在時にロンドン塔の統括に当たっていた人々のこと。

ロンドン塔のコンスタブルは、歴史的には、塔の運営、維持、および安全管理に努めていました。

後にカンタベリー大主教となったトマス・ベケット、トーマス·ベケット(13C)や、ナポレオン戦争で活躍しイギリスに勝利をもたらしたウェリントン公爵(19C )もコンスタブルとしての公務をこなしたことがあります。

コンスタブルの任務の中には、塔内の囚人の監視と保護も含まれており、その歴史はウィリアム1世がロンドン塔を設立した1078年頃までにも遡ります。現在、コンスタブルの主な役割はセレモニー執行等が挙げられます。

Constable of the Tower - Sir General Gordon Messenger

ロンドン塔のコンスタブルは2022年に就任したゴードン·メッセンジャー氏。海軍兵として英国史上初めての就任となります。

写真にも快く応じて下さいました。帽子には白鳥の羽飾り。昔はロンドンブリッジの下を泳ぐ白鳥は、全てコンスタブルへの貢ぎものと見なされていたため。。

その昔には、ロンドンブリッジ(タワーブリッジではありません)から落ちた馬、牛、豚、羊なども貢ぎ物として徴収されていたとの事!落ちてたら貢ぎ物になるところだった😅 他にも、ロンドン塔内で育ったハーブ、塔内のお堀にはまったカートなど全てコンスタブルに献上されたのでした。

 

Constable's Due

竿にワインの樽を吊るしてキングスハウスの前にてコンスタブルに献上します。タワーグリーンの木組みの建物は、16世紀のチューダー朝時代のもの。

ここでの「Due」とは、対価、貢ぎ物の事。年貢のようなものですね。ロンドン塔のコンスタブル(城代)が伝統的に慣れ親しんだ年間行事。このセレモニーは、イギリス海軍兵によって毎年ロンドン塔で行われ、今年2024年は360周年記念に当たります。

かつては街に船が到着し、貨物を陸上げするには必ずその船はロンドン塔の埠頭に停泊する必要がありました。今日でも、海軍の船が埠頭に停泊するたびに、船長はコンスタブルに「貢ぎ物」を贈らなければならず、伝統的にワインの樽が贈られます。

その樽はヨーマン·ウォーダー(ビーフィーター)に護衛されながら埠頭からロンドン塔内に運ばれ、最終的にはタワーグリーン呼ばれるコンスタブルの住む「キングスハウス」のある中庭で贈呈されます。

気になるワインの行方- キングスハウスに届けられた後は樽が開けられ、関係者が飲みます。その量は2リットルあるそう。私も手伝いたい。。

左の青いランプのついた建物がキングスハウス。コンスタブルのお住まい。国王が住んでいるわけではありません。写真左から, Sir General Gordon Messenger (Constable of the Tower ), Rob Fuller(chief Yeoman Warder), Debra Whittingham (Deputy Governor)

最後までご覧いただきありがとうございます。

 
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